創業30周年を迎えました。

 

こんにちは!

朝夕の日差しや風が、少しずつ秋めいてきた
今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?

 

本日9月3日は

 

私どもの創業記念日でございます。
1986年に創業した日子。

 

今年30歳となりました。

 

この日を無事に迎える事ができましたことを、
全てのお客様、物作りに携わる方々に
心から御礼申し上げます。

 

さて振り返れば、
この30年の間に日子にとっても
様々な出来事がございました。

 

好況に沸き、不況に苦しみ、時代と共に、
そしてお客様と共に
一日一日積み重ねた30年です。

 

東京でイベントを始めたり
海外からデザイナーや
担当のスタッフたちが
直接日子へ足を運んでくださったりと
ここ3年程で大きく状況が変わりました。

 

とはいえ、やはりもっとも印象深いのは
今年の4月に熊本や大分を襲った大地震です。

 

命の危険を感じるような体験をしたのは
生まれて初めてでした。
水、電気、火(ガス)、食べ物、
我が家で眠る生活…

 

身の回りにあった「当たり前の全て」が、
ある日突然、
満足に得られなくなるという経験は
わたくしどもにとって
生きる事そのものを考える、見直す機会を
与えてくれました。

 

自らも被災している中
飲食店の友人たちが
被害が大きい地域へ出向いて
炊き出しをしたり

 

医師、歯科医師のお客様たちが
避難所の方達の元へ足を運んだり
獣医師の先生がペットと共に避難できるよう
自院を開放し、連日徹夜で対応にあたったり。

 

苦境の中、
「誰かのために」
と奔走する姿の貴さを目の当たりにし、
我が身を振り返りました。

 

「日子として、何ができるのか?」

 

「日子として、何をすべきなのか?」

 

必死に思案しました。

 

しかし、考えども考えども答えが見えません。
焦りも感じました。

 

どれだけ高級な
どれだけ素晴らしい服を
扱っていても、それは着る人にとっては
「一枚の服」でしかないのです。
何十万円もする服ではなく
体を包むたった一枚の毛布が、
誰かの心や体を癒す…。
とても当たり前のことですが
それが被災地の現実だということを
改めて痛感しました。

 

「自分は無力だ」という思いと共に。

 

そんな中で営業を再開したある日の事。

 

同じく被災されたお客様がご来店になりました。
そして、いつもと同じソファに座り
いつもと同じカップで紅茶をお召し上がりになりました。

 

お客様は、小さく「ふぅ」と息を抜かれ、

 

「ここが開いていて良かった」

 

と仰ったのです。

「ここに来るとね、何だか、ほっとするよ。」

「早く元の生活に戻って、またここでゆっくり
買い物できるように頑張らないとね。」

「営業再開してくれてありがとう。
自分も頑張るから、あなた達も頑張って。」

 

と、にっこりと笑ってくださいました。

 

【 日子は洋服屋ではなく、装いを通して
素晴らしい時間や体験をお客様に提供する
場所として、商いをしています。 】

 

日頃、お客様にお伝えしていることだったのに、
自分自身、忘れていたことに気付きました。

 

お客様に、「ああ、良かったな」と思って頂く
事、笑顔になって頂く事、そのためにベストを
尽くす事。

 

自分が、今、やるべき事は、それだと。

 

直接的に被災した方達の
お役に立つことができなくても
お客様のお言葉のように寛いでほっと安心して頂く
「早くここでまたゆっくり買い物できるように」
と復興への気持ちを持ち続ける
きっかけにして頂くことができるなら
それがきっと、
「今の熊本」
での、わたくしども
日子の存在意義なのだと思いました。

 

また、国内外の取引先からのメッセージ、
県外のお客様から届くご注文に添えられた
温かい励ましのお言葉に
強く背中を押して頂きました。

毎日のようにメールを送って

 

「必要な物はないか?できることがないか?」

と声をかけてくれた
オロビアンコのジャコモ社長を始め

 

「日子さん、大丈夫ですか、何かこちらから
送りましょうか」

 

とメールをくれた取引先の皆様。

 

そしてお客様の中には
「これから夏が来る」
という時期にも関わらず
真冬向けの高額な御品を
ご注文下さった方もいらっしゃいました。

 

そのご注文にわたくしどもを
応援する温かいお気持ちが
込められていたことを感じました。

 

支えてくださいました皆様に
今一度、心より御礼申し上げます。

 

店も自宅も被害を受け、厳しい日々では
ありましたが、それでも、地震から4ヶ月半、
ここまで前を向いて営業を続ける事が
できました。

 

30周年を迎えた日子。
論語で言えば「30にして立つ」。
而立の年でございます。

 

その言葉に相応しく、今年はこれまでにない
大きな事にチャレンジいたします。
(詳細はまだ発表できませんが、月末には
改めてご報告できるかと存じます。)

 

これまで以上に、お洒落の楽しさ
良い物に身を包む快適さ、
モチベーションUPのための
ツールとしての装い…

 

様々なご提案をし続けていくことを
お約束いたします。

 

今日からの一日一日をまた大切に、
当たり前のことなどないのだという事を
忘れずに、積み重ねてまいります。

 

今後とも、わたくしども日子を何卒宜しく
お願い申し上げます。

 

実店舗 案内

HIKO 銀座

東京都中央区銀座2-8-17-2F
Tel 03 6264 4450